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建物状況調査(インスペクション)の活用促進に向けた見直しについて

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2024年4月1日から建物状況調査(インスペクション)の活用促進に向けた見直しについて、宅建業違法が一部改正されていることはご存知でしょうか?

これまでの宅建業法改正の経緯

既存建物取引時の情報提供の充実を図るため、2018年4月1日に改正宅建業法が施工され、不動産仲介会社に対するインスペクション説明が義務化されました。

何故このタイミングかと言えば、不動産取引のプロである宅建業者が、専門家による建物状況調査(インスペクション)の活用を促すことで、売主・買主が安心して取引ができる市場環境を整備できると考えたからです。

インスペクション説明義務化の内容について(2018年改正宅建業法)

①媒介契約締結時宅建業者がインスペクション業者のあっせんの可否を示し、媒介依頼者の意向に応じてあっせんする。
▶ここで売主若しくは買主が「必要なし」と判断した場合は終了

インスペクションを実施した場合

②重要事項説明時宅建業者がインスペクション結果を買主に対して説明

③売買契約締結時基礎、外壁等の現況を売主・買主が相互に確認し、その内容を宅建業者から売主・買主に書面で交付

2018年改正宅建業法施行後の宅建業者の運用について

売主・買主が安心して取引ができる市場環境を整備することを目的として始まった、インスペクション説明の義務化ですが、実際の営業現場での説明の難しさや、売買時にインスペクションを実施することで、建物に不具合が見つかった場合に売買契約の時期が遅れるのではないかという売主の不安あり、あまり進むことがありませんでした。

その後、2022年度に実施された国土交通省による宅建業者向けのアンケートによると、媒介契約時に売主、買主にインスペクションについて説明を行わず、一律に建物状況調査を実施する者のあっせんを『無』と示している業者が7割以上にのぼることがわかりました。

 

そして、「一律にあっせん『無』と示している理由」について詳細な理由を確認していくと、3割以上が「あっせんに係る業務の手間が負担になるため」、「売主・買主のニーズが無いと判断している」をあげています。

参照:改正宅地建物取引業法の施行状況及び今後の見直しの方向性について(国土交通省不動産・建設経済局不動産業課令和5年3月)

2024年4月1日より施行された改正内容

2018年の改正宅建業法施行から既に5年が経過し、普及に向けて一定の成果が出たこともあり建物状況調査のさらなる普及促進に向け、法令等の見直しが行われ、2024年4月1日に新たに改正された宅建業法が施行されました。

宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の見直し

  • 建物状況調査の活用促進とあわせて、売主等から告知書の提出を求めることにより、買主等への情報提供の充実を図ることの重要性を明確化。
  • 建物の維持保全等の状況に関する書類(建築基準法に基づく定期報告等)について、現行求められている保存状況の説明のほか、必要に応じ、その概要等についても消費者に情報提供することが考えられる旨を明確化。

標準媒介契約約款の見直し

  • 宅建業者は媒介契約書に、媒介契約書に「建物状況調査を実施する者のあっせんの有無」について記載する必要があり、あっせん「無」とするときは、その理由を記入する必要があります。
    その為、宅建業者は売主又は買主に対して、建物状況調査の制度概要等について紹介することが求められます。
  • 宅建業者はトラブル回避の観点から、建物状況調査の限界(瑕疵の有無を判定するものではないこと、等)について、媒介契約書に明記し、消費者に伝達する必要があります。

宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(平成13年国総動第3号)新旧対照条文

以下に参考として標準媒介契約約款であっせんの有無について記載されている箇所を抜粋しましたのでご確認ください。

宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款最終改正 令和6年4月1日、国土交通省告示第34号

これからの建物状況調査(インスペクション)との付き合い方

現在、国は政策として今まで以上に既存住宅の流通を増やすように進めていこうとしています。
世間では金利や物価が高騰し経済的な不安が広がる中、住宅購入を検討する人たちは今まで以上に自分に合った住宅を見つける為、様々な情報を求めていく傾向が強くなると考えられます。
特に既存住宅を視野に入れる買主は建物の構造的な欠陥や漏水等の不具合に注意深くなっています。
その為、売主は物件引き渡し後のトラブルを避けるために対策が必要になります。

そこで、解決策として建物状況調査(インスペクション)を実施することで建物の状態を明らかにし、物件引渡し後のトラブルを最小限にすることをお勧めします。
買主は購入前に住宅の状態を把握する事ができるため、不安が解消されるメリットがあります。

※既存住宅状況調査(インスペクション)はその建物の検査実施日における状態を明らかにするものであって、建物に瑕疵が無いことを保証されるものではありません。

最後に、インスペクションを依頼される9割以上は買主(住宅購入検討者)です。
売主は自らインスペクションを実施されない場合でも、購入希望者からインスペクション実施の希望が出た場合、承諾することをお勧めします。
拒否ではなく容認することによって、まだ確認もしていない建物の構造や著しい劣化に対する心理的な不透明さが無くなり、購入検討者が安心して取引できる材料を提供する事ができます。
結果として、買主との交渉がやり易くなり、引き渡し後のトラブルも減ることになります。

 

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