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株式会社 技研その他

部位別・住宅メンテナンスと耐久性の基礎知識【屋根編】

2025/05/14

私たちは日々の暮らしの中で、屋根の状態に目を向ける機会はあまりありません。
しかし、風雨や紫外線から家族と住まいを守ってくれている屋根は、住宅の中でも非常に重要な役割を担っています。
とはいえ、普段は目にすることが少ないため、劣化や不具合に気づきにくいのが実情です。

また、
「瓦屋根の葺き替え工事がどのようなものかわからない」
「前回のメンテナンスから何年程度で瓦屋根を葺き替えるべきか知りたい」
といった疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、戸建て住宅でよく使われる屋根材ごとに、点検のポイントやメンテナンスの適切な時期について、わかりやすくご紹介します。

※本記事でご紹介している耐用年数やメンテナンス時期は、一般的に言われている目安となっております。
実際の状態によっては、記載の年数とは異なる場合もございます。
そのため、メーカーへの確認や、調査会社・リフォーム業者等による現地での状態確認をお勧めいたします。
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屋根材ごとの点検ポイントとメンテナンス時期

戸建て住宅に使われる屋根材にはいくつか種類があり、それぞれ劣化の仕方やメンテナンスのタイミングが異なります。ここでは代表的な3種類の屋根材について見ていきましょう。

日本瓦

特徴
耐久性に優れ、風雨に強いのが特徴。重厚感があり、日本家屋によく合います。
耐用年数は50〜100年です。
ルーフィングの貼替えを除けば瓦が破損したり外れたりしないかぎり、メンテナンスがほとんど必要ありません。
メンテナンスの手間は少ないですが、台風や強風で破損する危険性があります。

点検ポイント
☑ 瓦のズレやヒビ、割れ
☑ 漆喰(しっくい)のひび割れ、剥がれ
☑ 棟(むね)の歪みや崩れ
☑ カビ・藻が発生している

メンテナンス時期の目安
地震や台風、外部からの何らかの衝撃で、瓦にひび割れが出来たりズレてしまうことがあります。ひび割れやズレをそのまま放置すると、屋根の内部に雨水が入り込んで、雨漏りや内部の劣化が進んでしまうため、早めの点検と補修をしましょう。

粘土瓦で耐用年数は、約50年です。
漆喰や瓦の下に敷いてある防水シートや野地板は、およそ20年で劣化します。
耐用年数が近づいている場合は、早めに点検されることをお勧めします。


スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)

特徴
軽量で比較的安価。現在もっとも多く使われている屋根材の一つです。

点検ポイント
☑ 表面の色あせ
☑ コケ・カビの発生
☑ ひび割れや欠け
☑ 金属板(棟板金)の浮きやサビ
☑ 留め具である釘やビスの浮き

メンテナンス時期の目安
・ひび割れの補修 5年後
施工から5年~7年程度経つと細かいひび割れなどが起き始めるため、一度様子をみて補修を行いましょう。

・塗装 10~15年ごと
スレートはセメントを原料としているため、屋根材自体にはほとんど防水性がなく、表面の塗装によって水の浸透を防いでいます。
また、この頃から色褪せも目立ち始めるため、美観の維持という点でも塗装は欠かせません。

・棟板金の交換 15年ごと
棟板金とは、スレート屋根の一番尖った部分に被せる金属の山形の板のことです。
施工から15年前後経ったら、この棟板金を点検・交換しましょう。

・葺き替え 20~30年
塗装などをしても効果がなくなってきたら全面葺き替え工事が必要です。


ガルバリウム鋼板

特徴
軽くて耐震性が高く、近年人気が高まっている屋根材で、デザイン性も豊かです。
耐用年数は商品にもよりますが、25年から30年とされています。

点検ポイント
☑ サビ
☑ 傷や穴あき
☑ 全体が変色している
☑ 塗膜の剥がれ
☑ 屋根材のめくれ

メンテナンス時期の目安
部分修理は5~10年後、塗装は10~20年後、葺き替えは30~40年経った頃に検討するのが良いとされています。
ただし、屋根の状態によっては、それより早く工事が必要になる場合もあれば、また逆に状態が良く工事が必要ない場合もあります。

・塗装
ガルバリウム鋼板の塗膜表面の樹脂がなくなると、「チョーキング」という劣化事象が見られるようになります。
手で触ると粉が付く症状のことを言いますが、その原因は表面に顔料が出てきていることによるものです。

・葺き替え
施工から30年程経つと、塗り替えでは対応できない深刻な錆や穴あきが発生することがあります。その場合は、葺き替えやカバー工法(上から新たに屋根を重ねる工事)といった工事が必要になります。

屋根メンテナンス・工事の費用目安

実際にかかる費用は屋根の面積や劣化の程度によって変動しますが、補修工事をカバー工法で行う場合の事例を紹介します。

屋根をカバー工法で葺き替える

2階建ての住宅おいて、カバー工法で屋根補修工事を行なった場合、
おおよその工事金額は 約248万円 ~ 345万円 になります。


参考サイト 住宅リフォーム・紛争処理センター

※足場代・撤去費・下地補修費などが別途かかることもあります。
※複数業者からお見積もりを取られることをお勧めします。

まとめ

屋根は、私たちの目に触れにくい場所にありながら、住まいの安心と安全を支える大切な存在です。
しかしその重要性とは裏腹に、劣化や不具合には気づきにくく、放置してしまうと雨漏りや構造体の損傷といった深刻なトラブルにつながることもあります。
瓦屋根、スレート屋根、金属屋根など、それぞれの屋根材には適した点検のタイミングとメンテナンス方法があります。
適切な時期に点検・補修を行うことで、屋根の寿命を延ばし、大規模な修繕を防ぐことができます。

「今の屋根の状態が気になる」「前回の点検から時間が経っている」と感じた方は、まずは信頼できる専門業者に点検を依頼してみましょう。
早めの対応が、これからの暮らしをもっと安心・快適なものにしてくれるはずです。

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